大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和24(オ)164 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士水崎幸蔵の上告理由第一点について、

原判決は、「被控訴人先代Dが、本件不動産を競落するに至つた経緯は、控訴人

の主張するように、当時控訴人は抵当債務を弁済する資力がなかつたが親譲りの本

件不動産が競売により人手に渡るのを忍びず後日金策のできた曉には再びこれを買

受けて控訴人の所有に回復しようと思い、便宜上実兄のEを介して親族に当るDに

右の事情を告げてその競落方を頼んだので、同人においては右の事情を了しその依

頼に応じて前記のように競落したものである」と認定したことは所論のとおりであ

る。しかしこの事実が所論のように直ちに売戻の予約となるわけではなく、予約の

成立はそれに相応する具体的な内容の協定があつてそして初めてこれを認めること

ができるのである。原判決は、右の事実によつて「控訴人から後日買受けの相談が

あるときはこれに応すべき意思を有していたこと」を認めるに足るけれども、信用

することを得べき証拠によつては、「控訴人の主張するように右競落当日控訴人と

Dとの間に後日何時にても控訴人において競落代金をもつて本件不動産を買受くべ

き売買完結の一方的意思表示によつて売買を完結し得べき売買の予約が締結された

こと」は認められないと最後の認定を下したものである。それ故に、原判決が右予

約の成立を前提とする上告人の本訴請求を棄却したのは当然であつて、違法と認む

べきかどはない。論旨は理由なきものである。

同第二点、第三点について。

所論は、結局において原審における証拠の取捨判断を非難するに帰し上告適法の

理由とは認めることができない。

- 1 -

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員の一致で主文のとおり

判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!